沢月亭日記
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2004年11月1日(月) こんな結末って
ベランダのサンショウにアゲハの幼虫がついたので観察していたのだが(10月15日の日記参照)、ある朝見たら、いなくなっていた。
蛹らしきものも見当たらないので、おそらくは鳥にでも食われてしまったのだろう。葉がほとんど残っていないサンショウの木では、あの姿はたぶん目立つから。
残ったのは、ほぼ丸坊主のサンショウの木。
あんまりだ、こんな、誰にとっても嬉しくない結末ってあるか。(いや、鳥は嬉しかったかも)
2004年11月4日(木) 切り取る世界 描き出す世界、そして。
大学の同期だった友人が通っている版画教室の作品展を見に行く。
木版、銅版画、リトグラフ、ソーラプレート、シルクスクリーンといった版の違いと、銅版画なら銅版画でメゾチント、エッチング、アクアチントといった技法の違いで、作品の印象が相当違ってくる。版画にはあまり詳しくなかったので、友人のレクチャーを受けつつ、この点に驚いた。
加えて、作者の使ったモチーフや構図もさまざまで、一口に版画といっても多様な作品群になっていた。出展しているのはおおむね、趣味として版画を手掛けている人たちなわけだが、それぞれの人たちが自分の世界をこれほど違った形で描き出していることが、強く印象に残った。

その後ランチを挟んで、友人と一緒に学部の後輩の個展へ。今度は写真である。後輩がいなかったので、しばらく待ってみることにしてゆっくり眺める。
写真の一枚一枚は、カメラの前にあった光景を切り取ったものだ(どんなふうに、なにを切り取り、どうやって印画紙に焼付けるかで、写真としてあらわれる姿は違ってくるけれど)。でも、たくさんの写真を選び、配置して展示することで、一枚一枚の中にではなく、会場にある種の世界が描き出される。だからこその展覧会なのだろう、などとつらつら考える。

それにしても後輩の個展に行ったのは、去年に続いて2度目。ずいぶん精力的に作品を発表し続けている。会場になっていたギャラリーの人が話して下さったのだが、後輩が所属している写真塾では、過去のものをためて出すのではなく、今出せるものを常に出していく、という方針を取っているらしい。去年より今年がよくなっているかどうかはわからないけれど、出し続けることで変化も進歩も見えてくる。続けていた活動に区切りをつけることもできる。そういうことだ。
ずいぶん、はっとさせられた。大事にため込んだものでなければ人前に出してはいけない、などと思っていなかったか。そうして、何も出さないまま時だけを重ねてはこなかったか。その挙句、去年より退化した今年を一人で抱え込み、さらに何も出さずに過ごそうとしていなかったか。
今を常に出し続けること。それはたぶん、私に何よりも欠けていて、だからこそ必要なものなのだと思う。
2004年11月7日(日) 秋休み終了
この1週間、非常勤を除いて仕事に行っていなかった。
社員旅行で職場が休み(講師には無縁)だった上に、しばらく定期的に通うところがあるのでシフトを入れていなかったため。暇だったわけではないが、特に記録するまでもない日々。

とりあえず今日は、10月末のとある研究会での発表の準備中に書いたメモを整理しながらだらーっとおかずの作り置きなど。春巻を冷凍したり、冷蔵庫に残っていた梨をすりおろして氷砂糖を入れて煮詰めて濾して梨のシロップを作ったり(風邪で咳が止まらない連れ向け。レモン汁を入れて水で割ったら結構おいしかった)。

今日の晩ごはん。
れんこんまんじゅう、わかめと豆腐のみそ汁、大根とカイワレとセロリのマヨネーズサラダ、ひじきの煮物、鶏皮入り卯の花、もやしのごまあえ。
2004年11月8日(月) ヘヴィな季節
推薦入試の時期なので、職場に来る質問に重たいものが増えてきた。英語を読ませて小論文を書かせる形式は珍しくないが、医学部などの場合、内容に関するこちらの知識が追いつかないことがある。そのつど生物や化学や地学の参考書を持ち出してくるのだが、どうしても困ることもある。
今日当たったのは、幾つかの設問の中で「課題文に書かれているもの以外の海の役割についてあなたの意見を100字で書きなさい」というもの。
海の役割……?
いや、列挙することはできるが、質問者が書いてきたことがどの程度点数を与えてよい内容なのか、判断がつかない。思いきり困る。
結局、破綻している部分を修正したのだが、いったいどういう基準が設けられていたのだろう。

今日の晩ごはん。
帰宅してコートも脱がないうちに、連れから最寄り駅に着いたという電話。ごはんを炊く暇がない。
そんなわけで、
チキンマカロニグラタン、大根とカイワレとセロリのサラダ、ひじきの煮物、白菜とわかめのスープ、ブロッコリーのソテー。
2004年11月9日(火) だから基準をつくった方がいいと
久々に校正の仕事。二校なのに赤を入れるところが多すぎてげんなりする。それも大半は、表記の統一をはかっておけば発生しなかったもの。みんな、思い思いに作るからなあ。せめて一冊の中では一致しておいてもらいたいものなのだが。

今日の晩ごはん。
麻婆豆腐、根菜と白菜ときのこのみそ汁、切干大根のサラダ、いんげんのごまあえ、ひじきの煮物、鶏皮入り卯の花、セロリのかつお炒め。

2004年11月11日(木) 言っちゃいけないこと?
小論文の書き方を教えてほしいというお客さんの多い時期。いつも不思議なのは、なぜあんなにも同じような、新聞の論評のコピーのような文章ばかりになるのか、ということだ。
「この『〜すべきであると思う』ってところが言いたかったこと?」
「いや、あんまり」
「え、だって『すべき』なんてあったら、言いたかったところなんだって思っちゃうよ?」
「ああ、ほんとだ(笑)」
「ほかに何か言いたいことあった?」
「うーん……」
なんてやり取りを繰り返しているのだが、どうも「ないわけじゃないんだけど、言えない」と、自分で自分にブレーキをかけているような物言いになってしまう(まあ、こちらの引き出す力が不足しているのもあるのだが)。

だから、今日受け持った子の言葉が印象に残った。
「言いたいことはいっぱいあるのに、言っちゃいけない気がしてつい大丈夫そうなものを選んでしまう」
その一言が聞きたかった(笑)。小論文がうまく書けない高校生で、こういう選択を(意識的にせよそうでないにせよ)している人は、かなり多いんじゃないか。

言っちゃいけないことなんてない。ただし言うからには、筋道立てて読む人を説得するように書かなければならない。だから、原稿用紙に書きはじめる前にとりあえずアイディアとして出して、読み手を説得できるように筋道を立てられるか考えて、それで駄目ならそこで没にすればいいのだ。言う前にブレーキかけるんじゃなくて。……というような話をする。

「学校ではこういう話、聞かないのかな」と聞いてみたら、学校の先生は今、推薦入試を前にした生徒の指導でいっぱいいっぱいなんだそうだ。た、確かに今の時期はそうかも知れない。先生方は私のような隙間の受験産業従事者どころでなく大変なのだろうな……。
2004年11月14日(日) フクロウ
なんであれ、それなりにがんばったことに対して「がんばったね」と言われることは嬉しいものだと思った月例会の日(謎)。

血中猛禽類濃度が下がってきたので、東中野のLive Animalsへ行く。
・壁にはりついてるコキンメフクロウ
・店内をばさばさと飛び回るサイチョウにおびえるオナガフクロウ
・その様子を見守りつつ睡魔に襲われていくアフリカオオコノハズク
・にゃあにゃあ鳴く別のアフリカオオコノハズク
などを堪能。あー、フクロウ飼いたい。もう3年ぐらい言い続けてるけど、今のマンションにいる以上、ペットは飼えないのだ……。

今日の晩ごはん。
チキンカレー、豆腐と椎茸のスープ、キャベツと鮭フレークのサラダ、茄子のほたほた、小松菜のお浸し、きゅうりと大根とセロリのサラダ。
2004年11月15日(月) 11日の続きのように
小論文の指導なんてものを続けてやっていると、同じように "書き慣れていなくて、それでもなんとか書いたものを持って来て、これからどうしたらいいかを聞きたい" お客さんの中にも、話を進めやすいタイプと進めにくいタイプがいることに気づく。
進めやすいのは、「自分が書いた文章なのに、自分が言いたいことを表していない」とか「書きたいことを書ききれなかった」とか、自分が思っていることと自分が書いた文章を比較できる人。
進めにくいのは、自分が書いた文章にケチをつけられると不機嫌になる人と、書いたことに満足してしまっている人。

とはいえ、最近は進めやすい人に当たるので、あまり苦労していない。今日のお客さんも、自分が考えたことと書いたことの差を理解してくれた。
これはこれで嬉しいことなのだが、自分がたぶん「進めにくいタイプ」だった(自分が書いたものを批判されると、自分自身が全否定されたように感じてしまい、かつ、それが態度に出てしまう)ので、できることならそんなタイプの人が自分の書いたものを批判的に読めるようになる、そんな指導をしたい。

今日の晩ごはん。
チキンカレー、豆腐とわかめのみそ汁、キャベツとタマネギのサラダ、セロリとキュウリとタマネギのサラダ、かぼちゃと椎茸のソテー。
2004年11月19日(金) 年賀状の季節
今度はどうしよう。なにも考えてないよ…。

年賀状といえば、この日記で近況を確認するリアル友人も結構いるようだ。
最近はこちらよりもむしろmixiのほうで日記を書いていたりもするので、入ってる人は探してみると、より詳しい近況がわかるかも。入ってないけど見たい方がいらっしゃったら招待もできるし。

こちらの日記は、検索を覚えた両親に見つからないかとひやひやものだったりするのだ。
(まあ、見られて困ることを書いているわけではないのだけれど、なんか親兄弟に見られるのはヤダ(子どもか))
そのうち、どこで日記を書くかもちゃんと整理しないといけないと思っている。
(もちろん、どこでも書かないという選択肢もあるのだが)
レシピつきの「晩ごはん」ぐらいなら、いつか誰かの参考になるかも知れないので、ここで続けてみようかとか、いっそ本館自体、もういらないんじゃないかとか、あれこれ迷っている最中。
なにかご意見があれば、教えていただけると有難いです。
2004年11月21日(日) 実は
一年前から、弓道をやっている。今日初段を取って、やっと弓道が「趣味」だと言えるようになったので、公表。

Akiary v.0.50
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