泊まり込みの仕事に行って英語を教えて、帰ってきたら人手が足りないとかで個別指導の日本史の授業がたくさん入っていて。 日本史なんて、高校でやったきりだからもうかれこれ……何年だか数えるのも面倒なぐらい昔の話。 でも仕事は仕事だし。 今日なんて、1時間の授業×4コマで原始〜江戸時代(開国まで)を説明しなければならなかった。個別指導だから相手は変わるけれど、こっちの気分は結構混乱状態だった。
歴史の難しいところは、何を切り捨てて話すかということ。 一つ一つの「歴史的なできごと」を説明するときりがないし、そもそも「歴史的なできごと」をどのように選ぶのかも問題になる。さらに「歴史的なできごと」どうしの関係をつなぐのだって問題だ。 ひとつのできごとが起こる原因をすべて挙げることはできないし、時間もない。 歴史はただでさえ物語だ。その上、さらにその物語を要約し、印象に残るように伝えるためには、できごとの一部を取り出し誇張し、要するに戯画化せざるを得ない。
たとえば為政者の権力争いに焦点を当てて話すと、当時の人たちがみんな権力欲に取り憑かれていたかのように、隙あらば有力者に取って代わろうと手ぐすね引いて待ち構えていたかのようになってしまう。戦争の経緯を話すと、戦国大名だの軍人だのがひたすらに戦いによって勢力を拡大していきたがる人種のようになってしまう。たぶんそんな描き方は、なにかを誇張している。
自分が高校生の頃は、それを受け入れていたし、複雑な話は自分で単純化して4コママンガにするなどして理解していたものだ。受験にはそれで十分間に合ったし、今教えるのもそのレベルで大丈夫なのだろう。 けれど、そうやって切り取り、誇張してわかりやすくした物語を教えるとなると、なんだかごまかしているような気がしてためらいを感じてしまう。自分がそんなふうにためらっていては、うまく教えられないとはわかっているのだけれど、切り落とせる場所がまだよくわかっていない。 わかるようになった方がいいのかな。なったらなったで仕事が増えそうだけれど、ならなくても結果はあまり変わらない気もするし。うーん。歴史がどう教えられているのか、ちょっと調べてみたいかも。
| |