沢月亭日記
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2003年10月5日(日) みりん干し


連れの実家から鰺のみりん干しを送っていただいたのは数日前。
困っている。
なにが困るかというと、私にとって干物とは、朝食時にごはんと一緒に食べるものだったからだ。
現在、我が家の朝食はパン食だ。パンにみりん干しをつけてよいものか。
あるいは、夕食におけるみりん干しの位置づけはいかなるものなのか。
連れによれば、副菜の一つということなので、今日はこんなメニューにしてみた。個人的には変な組み合わせだと思うのだが、連れは普通に食べてくれた。いつもそうだけど、ほんとによかったのかな(汗)。

というわけで、今日の晩ごはん。
ポークカレー、ピーマンのソテー、キュウリとレタスのサラダ、鰺のみりん干し、サツマイモのみそ汁。
2003年10月11日(土) あの卓球台
その昔「シャンペン・シャワー」という漫画があった。去年文庫化された時にもちょこっと書いたんだけれど、南米の架空の国のプロサッカー選手たちの物語で、コメディではあるけれどプロサッカーとはどんなものかを結構リアルに描いている作品だった。
その中で、ワールドカップ予選のために特訓を行う場面がある。田植えをしながらテニスをする、とか、密林の奥までドリブルとパスでボールを運び、幾多の障害を乗り越えて黄金のゴールにシュートする、とか、ハチャメチャなメニューがそろっていたのだが、主人公たちが最初に参加したのが「卓球」だった。
ただの卓球ではなく、卓球台の上にジオラマがつくってある。変化と起伏に富んだ台。ボールがどこに飛ぶのかわからない。(木に引っかかったり池に落ちたりすることもある)
そんな卓球台をアートとしてつくった人がいるらしい。
告知ページ
東京でやってたら見に行ってみたかったのに。

土曜日だけど、今日も出勤。6時で切り上げてオフに。六本木ヒルズのTORAYA CAFEでごまときな粉とあんの風味を楽しむ。
2003年10月15日(水) 
起きたら熱があった。普段風邪をひくときは喉から来るのだが、珍しい。
ちょっとだけ余計に眠るために、職場に行かずに派遣先に直行。派遣はさすがに休めない。熱のせいか、妙に浮かれた調子でしゃべっていたら、なんだか揺れが襲ってきた。ああ地震か、と、そのまま続ける。震度は2か3程度(@川越)だったので、あまり気にしなかった。関東ではよくあることだし。
そのまま仕事を続けて8時過ぎ、電車の中で携帯を見たら、長崎の義姉から「地震大丈夫?」というメール。「えっ、そんなにすごかったんですか?」と素朴に返してしまった。仕事中はあらゆる情報から隔絶された環境にいるから、何が起こってもわからないのだ。
帰宅後、非常勤の準備。今月初めに始まった秋の非常勤なのだが、当然知っているものとして話を進めようとしていたことに関して誰も知らなかったということが判明し、あわてて進め方を変えている最中。加えてモチベーションの高い学生と低い学生が混在し、低い学生が引いてしまっているのを止めきれない。つくづく、余裕のない授業運営をしてしまっている。

今日の晩ごはん。
チキンマカロニグラタン、豆腐としいたけのスープ、サニーレタスとキュウリのサラダ、かぼちゃのホクホク煮、大根とにんじんのナムル。
2003年10月23日(木) 1時間でできること
小論文の面談が入る。この時期のは、推薦入試を直前に控えたケースが多い。
つか、明後日試験だってー!?

ほかの講師がどうやっているのか知らないのだが、1時間という制限は、小論文にとってはかなりきつい。字面や構成を直せば大丈夫、てな叩き台を、そもそも持ってくる子がほとんどいないからだ。最初から書き直せ、といったら、もう1時間では片付かない。(大学で教える立場にある人はもはや想像できなくなってるかも知れないのだけれど、1時間かけて600字書くのは、彼ら彼女らにとってものすごく大変なことらしい。1時間で600字の小論文を「じゃあ書き直して」とか言ってる暇はないのである)

それに、入試の小論文は限られた時間で書くもので、何度も書き直したり外部のチェックを入れたりできるものじゃない。読んで評価するのは書いた本人ではないから、読み手を意識するというきっかけを作るためにはチェックは必要だ。けど、そこに頼って長期的に書き方を習得していく時間はもうない。そんな時点での1時間を、どう使ったら最も有効なのだろう。

今やっているのは「どういう方向に発想を広げていけばいいか」を考えさせるということだ。書いてきたものがどこで軌道を外してしまったのか、どうすればよかったのか。そんな話から始める。ここまではよかったけど、この一文で軌道が外れた、とか、設問が〜だったらいい文章だったんだけど、…な設問だったから残念、とか。

私が教えるのは、設問で聞かれていること、課題文が言っていること、設問が自分にとってぴんと来ない時の考え方、自分が読み手を納得させるための方針の立て方…。文章を添削してもらえると思っていた子にとっては、あてがはずれてしまうかも知れないのだけれど。それでもねじれゆがんだものを表面だけメイクするより、ゆがまないようにしたいのだ。1時間という制約の中で。

内容のない、表現だけきれいな文章より、素朴でも筋の通ったものの方が、読み手を納得させる力はあると思う。もちろん、素朴な体験だけではなく広い視野を持ってくれるにこしたことはないのだけれど、手に負えない武器を振るっているさまは、容易に見透かされる(大学入試で小論文の合否判定をしたことなんかないんで、実際どういうものに高得点が与えられるのかは知らない。大学で教官やってるような人が「気持ち悪い」と思うような論理とか文章はわかる、というだけ。手に負えない武器をむやみに振り回している人を呼びたい、という基準があるとしたら困るなあ)。

小論文を書く受験生に必要なのは、聞かれていることに自分自身を結びつける力だと思う。
その力を得るためには、様々な方法があるだろう。「設問」と「自分」との関係の中で。
でも、そんな方法を高校生たちが学んでいるようには見えない。
自分と相手の関係をはかり、相手に訴えかける方法で自分の主張を述べる。そのためにはものすごく社会的なスキルが必要だ。けど、そんなスキルを高校までの間に誰が教えられるのか。
高校生にそんなスキルを、しかも言語化するスキルまで要求するのは、むちゃくちゃ酷な気がするのだが、それが「酷」と思えてしまう状況こそが問題のように思える。

でも、1時間で「なんか改善した」気分に持ち込むのが私の仕事。
さて、指導の結果が出るといいんだけど。

今日の晩ごはん。
最近仕事が忙しい連れと一緒に食べる機会がないため、人様に見せるような食事ではない。
キャベツの豚肉巻き(昨日の残り)、小松菜のお浸し、大根のみそ汁。そんな感じ。
2003年10月30日(木) 自宅にて…あかん
仕事に行く予定だったのが、少し(20分ぐらい)寝過ごしただけで激しくテンションが下がり、行く気をなくす。面談も入ってないし、行ってやることは週末の泊まり込み仕事の予習なわけで、まあ行かなくても誰にも迷惑がかからないからいいか、と、休みの連絡を入れる。
で、家で予習。やってることは職場と同じだが、給料にはもちろん入らない。
…珍しいな、何やってるんだろう私。

週末の泊まり込み仕事は、夏休みにやったものの3日間版。センター試験の対策を一気にやるらしい。ただし英語のみ。今の時期にやっていいのかよくわからないのだが、冬休みは冬休みでまた別メニューが用意されている。
とりあえず今回は、限られた時間を無駄にしない方法を話してみようと思う。

泊まり込み仕事の予習のほかに、持ち帰り仕事もある。こちらは小論文。相変わらず消耗するものが多いのだが、慣れるもので、突っ込むパターンのようなものはある程度できてきた気がする。
ただ、言葉があまりに共有できていない状態に立ちすくんではいるのだが。
(たとえば「問題」といったら「批判して攻撃すべき相手」みたいに取ってしまうとか「批判」は「言葉で相手をやっつけること」みたいな。いちいち訂正していたらきりがないのだが、仕事だから仕方がない。だが、講師が訂正せざるを得ないような語の用法は、はたしてこの先に生き残る用法なのか、という迷いもないではない)

同じ日本語でも、伝わらない。
高校生と社会人は、同じ言葉をしゃべっていない。
そして、高校生は、いずれ自分が社会人の言葉をしゃべるようになると思っていない。
私を指名して面談してくれているある子は、「大人の考え方とうちらの考え方は違うから」と言った。彼女が「大人」の世界で生きる時間の方が、今の「うちら」の世界で生きる時間より長いと思うのだけれど、その違いを、彼女は認識できていない。
大学で「大人」に近付けば、彼女の言葉も変わっていくのだろう。でも、私が関わることができるのは、その大学に彼女が入れるかどうか、というところだ。

今日の晩ごはん。
豚肉のドミグラスソース煮(ジャガイモ、タマネギ、にんじん入り)、大根とにんじんのナムル。連れと一緒に食べられないと、なんか中途半端な餌みたいになってしまって、ここで公開するのが恥ずかしい。

Akiary v.0.50
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