沢月亭日記 |
2003年5月1日(木) 反省 |
ちょっと今日の指導はうまくいかなかったな。 関係詞とか分詞構文とかいう言葉自体がわからない子に、いくらそういう問題への解説を求められたからって、そんな言葉使って説明しちゃだめだろう。制限時間つきな中で。 けど、「受けて散々だったテストの解説」を頼まれたのだ。「あなたがこの問題を解くには、まだまだ知らなければならないことが多い」と言わなければならないのに、それが言えなくて。 お客さんのニーズに応えるのが仕事なんだけど、その方向が間違ってる場合、どう話を持っていけばいいのか。なんか、まだまだだな。 今日の晩ごはん。 豚肉のアスパラ巻き、新じゃがと絹さやの炒め物、アスパラガスときゅうりのサラダ、わかめと豆腐のみそ汁。 |
2003年5月2日(金) 社会学ってなんなんですか |
非常勤。なんか読んでる本の内容以外にも、卒論をどうするかとか、社会学っていったいどんな学問なんだとか、そういう話ができる。1年生と4年生が一緒に受けてるけど、双方の「わからなさ」を解いていくのが、かなり楽しい。 しかし、みんな仕事の後で受けに来てるんだよなあ(夜間主だから)。思わず「お先に失礼します」と退出する彼女たちに「お疲れさまー」と言ってしまう。なんかおもしろい関係を築きつつあるような気がしてる。 今日の晩ごはん。 ミートローフサラダ菜添え、キャベツのみそ汁、アスパラのサラダ、わかめときゅうりのごまあえ、ピーマンの炒め物。 |
2003年5月3日(土) ハリスン |
土曜日は食料品を買い出しに行く日。駅周辺の安い店を歩き回って買い込んで来る。それだけではなんなので、できるだけ猫を多く見られるルートを通るようにしている。 猫がよく昼寝をしている駐車場の横を通り、かなりの確率で猫に遭遇する住宅街を抜け、近所の居酒屋で毎晩餌をもらっている猫がたむろする駐輪場跡を横目に見て、連れと歩く。 ふと気が向いて、駅近くの鷹を飼っている床屋さんに向かう。店の前につながれているのを見たかったので。よく見ると、鷹の後ろに貼り紙があった。「ハリスホーク、名前はハリスン」だそうだ。 ということで、今日の収穫はあの鷹の名前がわかったことだろうか。 買物を済ませ、商店街のペットショップにいる、目つきが悪くてかわいいアビシニアンを愛でて帰宅。 猫もフクロウもカメも飼いたいけれど、それにはまずペット禁止のこのマンションから引越さなければならないわけで…当分はこんな猫散歩とフクロウサイトの写真で我慢するしか。 今日の晩ごはん。 鶏肉とキャベツのオイスターソース炒め、もやしの梅肉のりあえ、まるごと煮干しと青菜のスープ(きょうの料理5月号に載ってた)、きゅうりとサラダ菜とカイワレのサラダ。 |
2003年5月4日(日) アゲハチョウと枝豆豆腐 |
朝ベランダのプランターに水をやろうと思ってジョウロを手に取ったら、中にアゲハチョウがいた。 …なんでまた、そんなところに(水入れる前に気づいてよかった)。 羽をつまんで外に出す。濡れてしまったらしく、飛ぼうと羽は動かすものの、飛べない様子。しばらくうろうろ歩き回っているのを観察する。アゲハチョウを間近で見たのなんていつ以来だろう。小学生の頃にはよく幼虫を育てていたものだけれど。 その後5分ぐらいしたら乾いたらしく、飛んで行った。 昼食を実家で食べる。母が澄まし汁の実に枝豆豆腐を用意していた。卵豆腐のつもりだったが、なんか隣にあったから買って来たらしい。椀によそう直前に母が枝豆豆腐を鍋に入れると、なぜか澄んでいた汁が濁りだした。 謎の濁った澄まし汁を椀によそうと、枝豆豆腐はもはや影も形もなかった。卵豆腐とは違い、熱を加えたので融けてしまったわけだ。あとには少し緑がかってとろみのついた液体が。 な、なんかすごくまずそう。連れがいなくてよかったかも…。 (枝豆豆腐の原材料に「寒天」だの「ゲル化剤」だのが使われているのを見て(卵豆腐のかわりにはならないんじゃ…?)とひそかに思っていたんだが、投入後だったのでどうしようもなかった) まあ、母のコケとしてはそんなに大きなもんじゃないけれど、凝ったメニューのイメージが狂うとダメージは意外に大きいことが判明した。 実家の庭には、花が咲き乱れていた。花壇のパンジーやノースポール、芝生を囲むようにツツジ、タイツリソウ、ワスレナグサ、チューリップ、それに、冬に植えたバラも咲き始めた。 今日の晩ごはん。 牛肉の冷しゃぶサラダ、チャンプルー?、まるごと煮干しの青菜スープ、茎わかめと人参の炒め物。 |
2003年5月6日(火) エンドレス |
小論文の添削を仕上げて持って行くと、また新しいのを渡される。 …これが一年間続くのか? 気を取り直して校正。再び英文の訳語に迷う。 我々アメリカ人は大概の他の地域では考えられないような便利な暮らしをしてきた、という文脈で。 the comforts we enjoy のcomfortsをどう訳せばよいか。 意味としては、快適な暮らしができるようにしてくれるもののことだ。たぶんエアコンとか車とか。けど、後ろのwe enjoyを踏まえて訳さなくてはならない。「我々が快適に暮らせるようにしてくれる日常生活品」てな感じが元の原稿なんだけど、これは「関係詞」を「英文解釈する」ためのテキストなんだ。どこがどう関係詞だったのかがわからないほどこなれた(「日常生活品」はあまりこなれていないと思うが)日本語にするところじゃない。 だから「私たちが享受するcomforts」のような形にしたいんだけど「快適さをもたらすような品々」みたいなのでは長すぎる。 要するに、comfortを表すような一語が、日本語にはないんだ(「快適用品」とか言葉を作ってしまえば楽だけど、共通理解の得られていない(定義を参照できない)言葉を使って高校生に教えを垂れるべきではなかろう)。贅沢、というほど奢侈ではない。けど必要というわけでもない。なくてもいいけどあったら快適になれるもの。日本語には、そういうものに名前をつける習慣はなかった、ということだ。 なんとかひねり出したのは「便利」だった。「便利グッズ」じゃあんまりにラフだから「便利な品」としてはどうかと思った。 帰宅して翻訳やってる連れに相談した。「便利グッズ」と即答された。そうだよね、と、ちょっとほっとした。 けど、これだってcomfortの意味を表しているとは言いがたい。comfortは使われるものの、「便利」は使う人の視点に立った言葉だから。視点の違いを含み込むような訳語を当てて、かつそんな視点だのなんだのまで考えるゆとりのない高校生に伝わるようにするためには、どうしたらいいんだろう。 (私だったら、こんなに困る文章をそもそも選ばなかったと思う…) 今日の晩ごはん。 麻婆豆腐、青梗菜の煮浸し、ピーマンの炒め物、キュウリと人参とサラダ菜のサラダ、納豆、大根のみそ汁。 |
2003年5月8日(木) どつぼな一日 |
寝起きは悪いしドレッシングを床にぶちまけるし電車に乗り遅れるし、職場に持って行った弁当の立田揚げを落とすし。 なんかこう、いろいろとコケた。 同じコケでも笑える時とヘコむ時がある。コケのコンボとどつぼの境界はかなり微妙だ。 けど、へこみつつ派遣先に向かい、無理矢理ハイテンションになって2時間連続授業したら、かなり回復した。 なにがなんでも吐き出してみる、という行為は、結構気分のありようにとって重要なのかも知れない。 今日の晩ごはん。 アジの塩焼き、新ジャガバター、きゅうりとトマトのサラダ、切干し大根の含め煮、ピーマンの焼き浸し、青梗菜の炒め物、かぼちゃのみそ汁。 |
2003年5月9日(金) 一人 |
今日の出席者。 一対一か…。ううむ、これは寂しいかも。 今日の晩ごはん。 豚肉とトマトの重ね焼き、かぼちゃのみそ汁、切干し大根の含め煮、カボチャのソテー、新ジャガの炒め物、きゅうりとトマトのサラダ。 |
2003年5月10日(土) 小唄 |
小唄を習っている父が演奏会に出るというので見に行く。というか、両親に呼び出される。 三越で昼食後、母と買物。時間が余ったので、洋食器売り場を見て回る。ルーマニアの陶磁器(なんかこんな感じの)のペインティングを実演しているのを眺めたりしながら、父の出番が近くなったので三越劇場へ。小唄はよくわからないが、いくつか続けて聞いていると、なんとなく上手いか下手かはわかるような気がする。父は…まあ、よくがんばったな、と。とりあえず頼まれていた写真を取り、一足先に劇場を辞する。 帰宅後、小論文の添削をしようとして力尽きる。今回も手強いのばっかりだ…。 今日の晩ごはん。 手巻き寿司(まぐろ、かんぱち、きゅうり、カイワレ、ツナ、梅かつお、卵焼き)、まるごと煮干しの青菜スープ。 寿司飯が余ったので、いなり寿司にする。考えてみたらいなり寿司を作ったのは初めてだ。 |
2003年5月15日(木) またもらってきてしまった |
小論文。このまま1年間、土日をこいつに費やす日々が続きそうな気がしてきた。担当の社員さんも、沢山申し込みがあって泣きそうらしいんで、仕方がない。 3週連続で、派遣先での2時間連続授業。同じ内容の1時間の授業を2度繰り返すのだが、1度目の方で時間配分を誤った。内心激しく焦りながら、慌ただしく歩き回り、板書して解説する。NHKの「きょうの料理」の「20分で晩ごはん」で時間が足りなくなった時みたいだと思った。 2度目はうまく配分できたのだが、あと5分ほどで終わるという時、土踏まずがつった。あまり合っていない靴で2時間うろうろ歩き続けたせいだろう。何事もないかのように授業を続けたが、内心泣きそうだった。 今日の晩ごはん。 ひき肉とじゃがいものレンジ蒸し、トマトとキュウリと鶏ささ身のサラダ、もやしのナムル、茎わかめと人参の炒め物、アスパラガスのお浸し、大根のみそ汁。 |
2003年5月16日(金) 迷惑 |
非常勤の学生は昼間仕事をしてから大学に来る人たちなので、仕事次第で来るのが遅くなることもある。 そんな時は携帯に電話を入れてくれるのだが、授業の前には私は大概図書館にいるので、つながらないか、図書館で携帯を鳴らしてしまって大慌てか、どちらかである。 今日は後者。学生のみなさん、うるさくしてしまってごめんなさい。 遅刻はするものの、みんなちゃんと文献を読んできて思ったことを言ってくれるので、かなり進めやすくて助かる。 今日の晩ごはん。 まぐろステーキ大葉添え、もやしの梅酢醤油あえ、豆腐とわかめのみそ汁、春キャベツの炒め物、トマトとキュウリとサラダ菜のサラダ。 |
2003年5月17日(土) 新手 |
今回持ち帰ってきた添削は、全10回のうち第2回の分。つまり、今までやっていた回の分の添削を受けた人達が書いているはず。 第2回の解説にも書かれているし、第1回にほとんどの講評で書いたのは「何について書こうとしているのかはっきりさせてみよう」ということと「設問に答えてね」ということ。これを受けて、自分の文章に欠けていたものを少しずつでも見つけていって欲しいものだった。 なのだが。 あの、多少なりともやってみようとした跡が見られればいいんですが。 まるっきりスルーってのはちょっとねえ。 というわけで、前回よりもはるかに徒労感を覚えつつ添削を進める。 今日の晩ごはん。 餃子、ピーマンのお浸し、豆腐とわかめのみそ汁、トマトとキュウリとサラダ菜のサラダ。 |
2003年5月18日(日) 今日もまた |
添削。なんかこう…ただ書き慣れないというにはあまりに無惨な日本語を立て続けに見ていると、気が滅入ってしまう。ここで何度となく繰り返しているけれど、こんな日本語を使う人にどう言ったら、言葉は届くのか。 たとえば「渡辺淳一の『失楽園』という文庫本がある」という記述(ほんとは作者名と作品名は別ものだったけど)。これにどう突っ込んだらいいか。 言っていることは間違ってはいない。たしかにそういう題名の文庫本は存在する。だが「文庫本」は小説を公表するメディアの一つに過ぎず、同名で同じ内容の新聞での連載も単行本も存在する。「文庫本」だけに限ってしまう必然性はない。ここは「文庫本」ではなく「小説」というべきところなのだ。 こう記述した子は、うっかり「小説」ではなく自分が読んだ「文庫本」と書いてしまったのか、それとも「本」と「小説」…ていうか、メディアと文章の種類の区別がついていないのか。 前者であれば話は簡単なのだが、問題はその小説が、高校の現代文の教科書にはほぼ確実に掲載されているものだということと、その子がたぶんその小説を自ら読もうとして読んだのではない(明治時代の文豪の作品を好き好んで読もうとする子が、あそこまで誤読することはさすがにないだろう)ということ。 おそらくその子は、小論文のテーマを扱いかねて、なんとか自分の知っている領域に持ち込もうとして、その領域と似た題名の、最近教科書で読まされたなんかいかめしそうな文章を引き合いに出そうとしたんだろう、とは思うのだが、それが正しいかどうかは本人に聞かなければ分からない。 このタイミングで原稿用紙の狭い行間に、何をコメントすればいいのか。 少しでも届くように、とは思っているけれど。 今日の晩ごはん。 豚ひき肉とピーマンと長いもの炒め物、キュウリとトマトとサラダ菜のサラダ、キャベツとタマネギのサラダ、ニラのかき玉みそ汁。 |
2003年5月20日(火) メモ |
昨日のネタなのだけれど。 英語で「話法の書き換え」について質問された。 直接話法から間接話法に書き換える時、被伝達文中の指示語や副詞をtoday→that dayとかhere→thereとかに書き換えるのがよくわからない、と。 法の問題は実はかなり深い問題で、下手に説明しようとするとどつぼにはまる(何度かはまった)。叙述が発生する時に一体何が起きているのか。そしてその叙述を引用する時にはどういうことになっているのか(このあたりは気が向いたらまた書くつもり)。そんなことを説明しても、まずわかってもらえない。例を挙げて説明しても、それがかえって混乱させるきっかけになってしまうこともあった。 でも、昨日「その場にいなかった人にわかるようになってるかチェックしてみるといいよ。『この本』って言われたって、そこにいなかった人にはどの本だかわかんないじゃん」といったら、すごく納得してもらえたようなので、覚えておこう。 今日は魔法瓶の水筒を購入。職場に弁当に加えてお茶も持参することにした。 今日の晩ごはん。 厚揚げと豚肉とにらの中華風炒め(ねぎとしょうがを炒めて豚肉を加え、厚揚げとにらを 足してみそ、豆板醤、オイスターソース、ガラスープ、酒、醤油で味付け。わりとうまくいったかも)、キャベツと油揚げのみそ汁自家製絹さや添え、サラダ菜とキュウリと自家製レタスのサラダ、小松菜のお浸し、大根のきんぴら。 |
2003年5月21日(水) メリハリ |
今日から水筒も持参。 昼食時に飲み物を買いに行く手間が省けたわけだが、狭い部屋に何時間もいて出られないというのはかなりきついことがわかった。 (休憩で外出、というのは、なぜか私の辞書にはない。自分の身体にとって必要な休憩時間以外は働き続けるものだと思う。煙草を一服などもってのほかだ) そのため、面談がかなり気分転換になる。黙々と校正するのと、人と話すのと。両方あるといい感じ。 今日の晩ごはん。 青椒肉絲、ニラのかき玉みそ汁、キュウリとサラダ菜のサラダ、大根のきんぴら、アスパラのマヨネーズあえ。 |
2003年5月22日(木) 初めての事態 |
職場で校正にいそしむ。校正というか内容のチェックなのだが。 そしてまた、小論文の添削をもらってきてしまった。 それから、また派遣されて2時間連続の授業だ。 こうやって時は過ぎていくのだろうか。 2時間連続授業なのだが、今回は中間試験のせいか、お客さんが少ない。2回目の授業にいたっては、お客さんは2人。協議の結果、広い教室ではなく面談で使うブースでやることに。 これはかなり困った状況だった。1回目の授業と同じクオリティを保たねばならないから。でも、板書しまくっていた1回目のようにはいかない。伝えられるものは伝え、彼らはそれをノートに書き取った。けど、それがどれだけ「領有」されるのか。とりあえずやれるだけのことはやったつもりなのだが。 今日の晩ごはん。 ポークピカタ アスパラガス添え、豆腐とわかめのみそ汁、大根のきんぴら、茎わかめと人参の炒め物、サラダ菜と大根のサラダ。 |
2003年5月24日(土) 困った通信販売 |
母の日のギフトをネットで注文し、配達してもらったんだが、そのサイトから、注文していないのに「発送しました」のメールが来た。 心当たりがないので問い合わせたら「代品です」とのこと。 なんの代品か、ますますわからない。 夜、母から電話。実は母の日に届いた鉢植えは、花がすっかり枯れて落ちた状態だったらしい。それも、輸送途中に枯れたのであれば、包装の中に枯れた花が落ちているはずなのだが、それがないところを見ると、包装された時には既に枯れたものだったようだ。 花の香りを楽しむハーブなのに、それではなんにもならないではないか。 注文した当人に届けるものではないからいいと思ったのか、かなり悪質である。 母は電話で抗議し、交換させた。その交換品が発送されたというメールだったわけだ。 ちなみに、注文主への説明はいっさいなかった。 今回、母だったからいいようなものの、相手によっては(いや、母でもだが)これは相当失礼だ。送り主の人格を問われかねない。 ネットでこういうトラブルにはどうしたらいいのか。今回の問題自体は既に解決しているのだが、注文した立場としてどうも釈然としない。今後こういう業者を避けるしかないのかな。 とりあえずそのためには「特定商取引法に基づく表示」がきちんとしているかどうかがひとつの判断基準になるらしい。問題のサイトは、確かに代表者と所在地の記載がなかった。 教訓としてここに記録しておく。あと、そのサイトがどことはいわないが、リンクしていたのを外した。 特定商取引法に基づく表示: ・販売業者名(個人は屋号又は氏名) ・所在地(本社、事務所) ・代表者又は業務責任者氏名 ・連絡先(電話番号、FAX、E-mailアドレス) ・商品代金以外の必要料金 ・商品等の引渡し時期 ・返品・交換について ・不良品について ・支払い方法 今日の晩ごはん。 和風キャベツバーグ、水晶豆腐と青梗菜のサラダ、サラダ菜とわかめのサラダ、 大根のみそ汁。 |
2003年5月26日(月) 未踏の領域 |
質問が底をついていたので、今までやっていなかった領域に手を出してみた。 政経。 高校で習ったことはないのだが、経済ならなんとかわからないでもないし、「神の見えざる手、ってなんですか」みたいなものだったので、やってできないことはなかろう。 で、回答する。高校の政経って、こういうところまでやってるのね。 途中、フロアが揺れる。地震だったんだが、いやにしつこくゆらゆらと揺れていた。社員のおばさま方などは不安がっていたが、壁際に天井まで山積みの箱が無事なんだから、全然大したことはない。たぶん遠くて深い地震で、だから震源地では結構揺れたんじゃないかとか思いつつ、仕事を継続。震度とか震源地とか知ったのは、帰宅後のことだった。 今日の晩ごはん。 餃子(会心の焼き具合)、青梗菜のお浸し、キャベツの梅みそマヨネーズサラダ、豆腐とわかめのみそ汁、大根のピリ辛炒め。 あの世で俺にわび続けなくていいです……(謎) |
2003年5月28日(水) 哀愁の擬製豆腐 |
仕事から帰宅して、夕食を作る。 朝起きるのが遅くて朝食を食いっぱぐれたので余った卵と、昨日作ったいり豆腐を使って擬製豆腐を作った。いり豆腐に卵を混ぜ、卵焼き器に流し込んで焼く。裏返してさらに焼く。いい感じに焼き上がってきたので、くっつかないように卵焼き器の中で前後にすべらせる。 勢いあまって、擬製豆腐が宙に舞う。 着地点は、ガスレンジの奥の、油やらほこりやら、ゴキブリの駆除剤やらの上だった…。 そんなところで原型をとどめないほどに崩れた元・擬製豆腐。これはもう捨てるしかなかった。 なんというか、非常に意気消沈した。 今日の晩ごはん。 肉じゃが、麩とわかめのみそ汁、きゅうりと大根とサラダ菜のサラダ、ピーマンのお浸し、切干し大根と人参の煮物、(幻の擬製豆腐)。 |
2003年5月29日(木) 授業は続くよどこまでも |
2時間授業の木曜日。いつまで続くのだろう。 同じ授業を2回繰り返すといっても、受ける人数はだいぶ違う。1回目は数十人、2回目は十数人というぐらいに。そのため、若干進め方を変える必要があって、気が抜けない。 古典の質問で「源氏物語って本当にあったことじゃないんですよね?」と聞かれた。 返事に窮した。そんな当然の前提を聞かれるとは思わなかったし、本当にあったことだったらどうだというのか、さっぱりわからなかったから。 日本史じゃないんだから、本当にあったことかどうかは問題にはならない。「平家物語」も「大鏡」も、「方丈記」の「養和の飢饉」も(あ、これは日本史の教科書で史料として引用されてたっけか?)、何が書かれていて、どう読み取ればいいかが問題なんであって、書かれていることが歴史的事実かどうかという話ではない。少なくとも、光源氏が実在の人物か虚構の人物かで、読み取れるものが変わるわけじゃない。でもそのへんの区別がついていないようだった。どうも、日記と物語と随筆の区別がついていないらしい。 その子は文学史の知識はかなりあるようで、作品名と作者名はすらすら挙げることができた。でもなにか、根本的ななにかが誤っているような気がする(「伊勢物語」と「在原業平」が結びつくのはよいが「伊勢物語の作者が業平」と思ってしまうとか。「昔、男ありけり」の「男」が作者本人だと思っていたわけだ)。 なんか、小学生が「でもそれってうそんこのお話じゃないか」と反駁するのに似た空気を感じた。 なんとか質問に答えたけれど、現実を解釈し、それに基づいて行動するやり方について、とても不安を覚えた。大丈夫なのかな…。 今日の晩ごはん。 カレーライス、青梗菜のお浸し、きゅうりとトマトとサラダ菜のサラダ、擬製豆腐リベンジ! |
2003年5月30日(金) 立たなきゃ |
今まで危機感を感じていなかったのか? あの時目の前の壁に圧倒されて力つきていなかったら、今もう少しマシなことを言えてたように思える。つくづく、自分が情けない。 けど、私がずっと知りたかったことに、誰かがかわりに答えてくれるわけじゃない。 だから、自分でやらなければ。自分を救うために。 人畜無害な身辺雑記なので、このへんで切り上げとこ。 非常勤はいつものように、一通り発表してもらい、その後で補足を加えつつ考えたことを言ってもらう。参加者は少ないけれど、積極的に発言してくれるので進めやすい。 帰宅後、持ち帰りの添削。相変わらず破壊力ある答案が勢ぞろい。思わずその力に正面から立ち向かってしまって「こことここがこんなふうに矛盾しています。この文と前の文は原因と結果の関係にはないので『だから』では結べません。何が『有害ガスや地球を破壊した(そもそも意味不明)』のか書いてください……」などと書き込んでしまいがちなのだが、別に彼らは意図してこんな文章を書いているわけではないはずだ。読み手にここまでダメージを与えるなんて想像もしていないだろう。ただ、添削を受ければ小論文が書けるようになると思って、よくわからないテーマから必死に文を書き連ねた、ということなんだろう。 個々の文が、そしてその文のつらなりが、他人が読めるような形で存在しているということに、あまり気づかずに。出題者がとっくに知っていることだという想像を働かせる余裕もなく。 そして、ぎっしり書き込まれた赤い文字と、思ったほど高くない点数にうんざりして、あんまり読まずに次の課題にかかる。そんな感じが、同じお客さんから送られてくる毎回の小論文の進歩のなさからうかがえる。 ただ、これって課題の出し方にも問題がある。日本語がうまく書けない人にいきなり「論理的な文章を書け」といっても無理な話だ。こまったな。 今日の晩ごはん。 ポークカレー、自家製レタスとサラダ菜とキュウリとトマトのサラダ、ピーマンのソテー、豆腐とわかめのみそ汁。 |